今年は在伯愛媛県人会の創立60周年に当たり、海外協会は11月、ブラジル・サンパウロで開かれる記念式典に慶祝訪問団を派遣する。そこで等身大のブラジル日系社会について理解を深めようと、2010年7月から2年間、日系社会青年ボランティアとして日系人集落にある学校で日本語教師を務めた堀本さんの話を聞いた。
地区会では、主催者を代表して檜垣清隆副会長(檜垣造船社長)が「ブラジルは地球の反対側で大変遠いですが、関心のある方はぜひ11月に訪問し、同胞県人の活躍を見てください」と開会あいさつ。地元の村上誠一郎衆議院議員と山本順三参議院議員からメッセージが寄せられた。
堀本さんが活動した日系人集落は、戦後間なしに開拓されたサンパウロ州の移住地「イタペチ」で、日系の約60家族が生活しており、ブラジル人を含めた人口は約千人。堀本さんは3~18歳の子供たちに日本語や日本の文化、習慣、しつけなどを教えた。
堀本さんはブラジルの日系社会や日本人移住の歴史を説明した後、映像も使ってイタペチの日常生活や年間行事などを詳しく紹介。自らの体験をもとに「日系社会ではブラジル人との結婚、混血が進んでおり、日本語を話せる人が少なくなっている。しかし、古き良き日本がまだ残っており、子どもに日本語や日本文化を継承させたいとの親の願いも強い」と解説した。
さらに「ブラジルの日系社会には、どんなことでも受け入れてくれる心の広さと、どんなことがあってもどうにかなるという心の強さがあることを教わった」と振り返り、「日本から遠く離れた所で、そうした生活を営んでいる日本人がいることを多くの人に知ってほしい」と結んだ。
【写真】㊤ブラジルの日系社会について理解を深めた今治地区会㊦映像を使って日系人集落の生活や行事を紹介する堀本梓織さん