2013年12月13日金曜日

高校生が国際理解へ研究・意見発表

   愛媛県海外協会共催の平成25年度県高校国際教育生徒研究発表会が1211日、伊予市の伊予農業高校で開かれた。
   高校生に国際知識を普及し、海外事情への認識を深めさせ、国際教育の振興を図るため、県高校国際教育研究協議会(会長・岩村正雄伊予農高校長)などが主催。研究発表の部(グループ)に5校、意見発表の部(個人)に6校から留学生を含む7人が出場した。
 生徒らは体育館で審査員や伊予農高1年生ら約300人を前に、世界における日本の役割、関心の強い外国、資源・環境問題と日本の立場、国際教育に関する部活動の問題点や改善方法などのテーマで、研究発表が10分以内、意見発表が6分以内の制限時間で発表した。

 成績は、研究発表の最優秀賞(県知事賞)が伊予農高、優秀賞(国際協力機構四国支部長賞)が松山中央高。意見発表の最優秀賞(県教育長賞)が西条高2年の山内皓貴さん、優秀賞(県高校国際教育研究協議会長賞)が北条高1年の白石南名聖さん。伊予農高1年のアレグラ・アンブロシオウッドさん(アメリカ出身)に留学生対象の特別賞(県海外協会長賞)の賞状と盾が贈られた。
 研究発表と意見発表の最優秀受賞者は来年114日に徳島県で開催の四国大会に出場する。

【写真】研究・意見を発表し、表彰された生徒たち
 

パラグアイ訪問 カメラスケッチ

   在伯愛媛県人会創立60周年記念式典でブラジルを訪ねた慶祝訪問団は1112日、隣国のパラグアイを訪問し、在芭愛媛県人会(篠藤真喜男会長、72家族)と交流した。
 愛媛県から公式訪問団が在芭県人会を訪れるのは半世紀を超す愛媛からのパラグアイ移住の歴史で初めてとあって、訪問団は大歓迎を受けた。
 パラグアイ訪問には、別公務のためブラジルから途中帰国した中村時広知事ら8人を除く公的訪問団15人と民間訪問団12人の合計27人が参加した。ブラジル国境に最も近く、日系・日本人約220家族、約750人が暮らすイグアス移住地(アルトパラナ県イグアス市)に、ピラポ移住地とラパス移住地、首都アスンシオンなど全国から在芭県人会員約40人が集合。地元イグアス婦人部による手料理やパラグアイダンス、和太鼓の演奏などを楽しみながら、時間がたつのを忘れて懇談した。
 交流会以外にも、前県人会長・窪前勇さん(67)=西予市野村町出身=の農場をはじめ、農協のサイロと製粉工場、日本語学校、診療所などイグアス移住地の施設を見学。母県との一層の交流を願って「愛媛の森」に訪問団全員がラパチョを記念植樹した。
 パラグアイ訪問はわずか1日の日帰りだったが、双方とも大感激。在芭県人会と母県・愛媛との交流の歴史に忘れることのできない、貴重な1ページを記した。


イグアス農協が経営する製粉工場を見学する訪問団。イグアスの主産業は大豆、小麦など穀物を中心とする農業で、この製粉工場で年間約2万トンの小麦粉を生産している



農協事務所の壁面に掲示された、イグアス移住地への入植が始まった当時の様子を紹介する写真パネル。さまざまな営農・生活上の試練を試行錯誤しながら解決してきた



イグアス日本人会が運営する日本語学校。幼稚園と小学部、中学部、高等部がある



在芭県人会と母県・愛媛の絆の深化を願い、「愛媛の森」にパラグアイを代表するラパチョの苗木を植樹した後、記念撮影する訪問団



そろいのエプロン姿で迎えてくれたイグアス婦人部の女性たち。交流会会場には巻きずしや赤飯、刺身、饅頭などさまざまな和食をはじめ、食べ切れないほどの手料理が並び、訪問団を感激させた



酒瓶を頭に乗せ、軽快にパラグアイダンスを踊るイグアス移住地の少女たち。訪問団から大きな拍手が送られ、交流会を盛り上げた



パラグアイダンスを披露し、愛くるしい笑顔を見せるイグアス移住地の子どもたち



訪問団と在芭県人会の交流会会場。舞台では歓迎アトラクションが繰り広げられた。出席者は初対面とは思えないほどに話が弾み、「ふるさと愛媛」の話題が尽きなかった



交流会で熱演するイグアス移住地の和太鼓メンバー。時に激しく、時に優しく演奏した。地球の反対側で「日本の伝統文化」を継承している



「また来てくださいね」。交流会の後、手を振って名残を惜しんでくれた在芭県人会の人たち。「ふるさとは私たちのことを忘れていなかった」と初めての訪問を心から喜んでくれた

2013年12月12日木曜日

ブラジル訪問 カメラスケッチ

 愛媛県海外協会は設立30周年記念事業の一環として11月、ブラジル・サンパウロで開かれた在伯愛媛県人会(西村定栄会長)の創立60周年記念式典に官民合同の慶祝訪問団を派遣した。
   訪問団は県内の行政・議会関係者らで構成する公的訪問団23人と海外協会会員や一般有志による民間訪問団12人の合計35人で編成。団長を中村時広知事、副団長を竹田祥一県議会議長と井上善一海外協会会長が務め、117日から10日間の日程(一部団員は途中帰国)でブラジルと隣のパラグアイを訪れた。
   ブラジルでは在伯県人会が主催する祝賀行事に参列。県人が運営・経営する企業や農場を視察するなどし、愛媛を母県とする人たちと交流した。

「ようこそ、ブラジルへ」。成田から24時間の飛行時間を経てサンパウロの空港に到着すると、在伯県人会のメンバーが歓迎の横断幕で出迎えてくれ、訪問団を感激させた


サンパウロのイビラプエラ公園に建つブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑を参拝し、黙とうする訪問団。朝の慰霊碑に全員が献花した


サンパウロの日伯文化協会ビルにあるブラジル日本移民史料館。館内では、1908年の笠戸丸から始まった日本人移民の軌跡をさまざまなテーマを設けて年代順に紹介している



ブラジルで醤油といえば、サクラ中矢食品社の「サクラ醤油」。松山市出身の中矢一族が創立し、知恵と努力を代々受け継ぎながら南米最大のメーカーに成長させた。訪問団はサンパウロにある工場を見学した


松山市出身でアチバイア在住の元県人会長、藤原利貞さん一家が経営している花卉農場。豪華なランなどさまざまな花を栽培、出荷している。アチバイアの市長や市議会議長らも姿を見せ、訪問団を歓迎してくれた


300人が出席して開かれた在伯県人会創立60周年記念式典。功労者の表彰などがあったほか、祝賀会の記念アトラクションではサンバショーと野球拳大会や野球拳踊りなどが繰り広げられた


記念式典で高齢者表彰を受けた皆さん。幾多の苦難を乗り越え、ブラジルに世界最大の日系社会を築き、在伯県人会の発展に寄与してきた


記念式典で、訪問団から贈呈された記念品「水引細工船」を手にする西村定栄在伯県人会長(左)と中村時広知事


組織力と団結力、行動力で晴れの記念式典を準備し、成功させた在伯県人会のスタッフたち。2世、3世の新世代で、これからの県人会活動を担う



ブラジル訪問最後の行事として企画された県海外技術研修員・県費留学生OB・OGと訪問団の懇談会。研修員・留学生経験者らは母県・愛媛での体験と成果を高く評価し、制度の継続を希望した

2013年11月6日水曜日

ブラジル県人100年記念誌が完売

 愛媛県海外協会が販売していた在伯愛媛県人会(西村定栄会長)の日本人ブラジル移住100周年記念誌「ブラジル愛媛県人100年の歩み」=写真=は116日、完売しました。ありがとうございました。
 記念誌は2008年の移住100周年に合わせて在伯愛媛県人会が出版した。県人会の編集委員会が愛媛県国際交流協会や愛媛新聞社の協力を得て広大なブラジル国土を駆け巡って完成させた労作。戦前戦後を通じてブラジルに移住した県人は約5千人とされ、同胞県人の望郷の思いや家族愛、波乱万丈の人生模様が描かれている。
 海外協会は11500円で販売していたが、1110日にサンパウロで開かれる在伯愛媛県人会創立60周年記念式典が近づくにつれ、慶祝訪問団の参加者から記念誌の問い合わせや購入希望が相次ぎ、在庫が完売した。
 一方、南加愛媛県人会(大谷喜平会長)の「創立100周年記念誌」は若干の在庫があり、海外協会が11500円(送料別)で販売している。同誌は2010年に米国カリフォルニア州ロサンゼルスで、愛媛から加戸守行知事(当時)を団長とする官民合同の大型訪問団が出席して開かれた創立100周年記念式典の模様や、訪問団参加者と県人会員の寄稿文などで構成。県人会員からは母県・愛媛への熱い思いがつづられている。問い合わせは海外協会事務局=電話089(989)7144

米国 宮田師が英文四国遍路本を出版

 米国カリフォルニア州ロサンゼルス市にある高野山米国別院の主監、宮田諦詮(たいせん)師(81)がこのほど、英文の「四国88カ所遍路ガイドブック」=写真=を改訂出版した。
 第5版となる改訂版は縦23センチ、横16センチで160ページ。各札所の本尊と真言、住所、宗教的意味などを英語で記載。多くの外国人遍路の伴侶として愛用されており、現地で原価の25ドルで頒布している。
 宮田師は大洲市八多喜町出身で19593月、開教師として26歳で渡米。84年に現地で四国遍路ガイドブックを出版したほか、日系人らの巡拝団を引率するなどしてこれまでに11回の四国遍路を結願している。来春には最後の遍路を計画、伊方町出身者や日系23世の信徒と共に訪日する予定でいる。
 高野山米国別院は1912(大正元)年、愛媛県人1世らが発起人の大半となって発足。弘法大師の真言宗の教えを南カリフォルニアで伝えており、昨年、開創100周年を迎えた。

2013年11月1日金曜日

在伯県人会60周年 慶祝団が7日出発

   愛媛県海外協会が設立30周年記念事業の一環として、ブラジル・サンパウロで開かれる在伯愛媛県人会(西村定栄会長)創立60周年記念式典に派遣する慶祝訪問団が117日、日本を出発する。訪問団は公的訪問団23人と民間訪問団12人の総勢35人。
 訪問団は県内の行政・議会関係者らで構成する「公的訪問団」と、海外協会会員や一般有志による「民間訪問団」で合同編成。団長を中村時広知事、副団長を竹田祥一県議会議長と井上善一海外協会会長が務め、日程は同16日までの10日間(一部団員は途中帰国)。
 訪問団は在伯県人会が主催するサンパウロでの祝賀行事に参列。県人が運営・経営する企業や農場を視察し、県関係者の多年にわたる労苦をねぎらい、交流を深める。
 さらに隣国パラグアイを訪問し、在芭愛媛県人会(篠藤真喜男会長)とも交流。世界自然遺産のイグアスの滝や、サッカーW杯とオリンピックを控えたリオデジャネイロを訪ねる。
 愛媛県から公式訪問団が在伯県人会を訪れるのは5年ぶり。在芭県人会は初めてとあって、両国の県人会とも期待は大きい。
 海外協会事務局は早くから県国際交流課と連携、両県人会と連絡・調整を図りながら訪問団の派遣準備をしてきた。井上会長は「海外協会はこれまで、在外県人会の周年事業に積極的に参加してきた。愛媛を母県とする同胞のふるさとへの思いは世代を超えて脈々と受け継がれており、毎回、大きな感動を得てきた。今回も同胞県人の活躍を見聞し〝心の絆〟をはぐくみ、実り多い訪問にしたい」と期待している。

2013年10月8日火曜日

海外協会 「海外報」273号を発行

   愛媛県海外協会は108日、機関誌「海外報」の第273号=写真=を会員らに発送しました。
 今回の号は、海外協会設立30周年記念事業の一環として11月、ブラジル・サンパウロで開催される在伯愛媛県人会創立60周年記念式典に派遣する慶祝訪問団の話題を中心に編集しました。
 また、ブラジル訪問に合わせて訪れる隣国パラグアイの在芭愛媛県人会の新会長就任や、南加愛媛県人会関連のロサンゼルスでの2世週祭、「天神丸100周年」を記念した北加愛媛県人らの天神丸漂着地・ポイントアリーナ訪問、在伯愛媛県人会関連のサンパウロでの日本祭りの話題を取り上げました。
 県内の行事や出来事も数件紹介しましたが、高校生対象の全国国際教育研究大会の生徒研究発表会の部で伊予農高が最優秀賞を受賞したのはうれしい話題です。
   在外の皆さんに送っている愛媛の写真(手製絵はがき)は、東温市の赤ソバ畑を同封しました。

2013年10月2日水曜日

薬師寺さん母娘がブラジルから一時帰郷

 ブラジル・サンパウロ州に移住している薬師寺フジ子さん(88)が次女・堀江弥須子さん(61)と愛媛に一時帰郷し、930日、「夫が生前、お世話になりました。引き続き、子どもたちとも交流をよろしくお願いします」と愛媛県海外協会事務局を訪問してくれた。
 フジ子さんは宇和島市三間町出身。同市吉田町出身の薬師寺茂雄さんと結婚し、19555月、夫婦と12女の一家5人で渡伯した。
   薬師寺さん夫婦はサンパウロ州アチバイア市で長男一家と同居し、養蜂と花の栽培、プロポリスの生産に従事してきた。今年513日、茂雄さんは突然、体調不良を訴え、病院に運ばれたが、翌14日、心不全で死去した。93歳だった。
 茂雄さんの死後、気落ちしたフジ子さんを心配した子どもたちが「日本のきょうだいらと会って話せば、元気が出るのではないか」と一時帰郷を計画。アチバイア市に住む弥須子さんが付き添って帰国した。
 フジ子さんは宇和島市や高知県のきょうだい方などを訪問し、1011日に離日予定。「1110日にサンパウロ市で開かれる在伯愛媛県人会創立60周年記念式典には出席するつもり。式典で会いましょう」と笑顔で語ってくれた。

【写真】海外協会事務局を訪れた薬師寺フジ子さん(左)と堀江弥須子さん母娘
 

2013年9月19日木曜日

会長杯ゴルフ 秋晴れの奥道後GCで熱戦

 愛媛県海外協会は919日、毎年恒例の第8回会長杯ゴルフコンペを松山市八反地の奥道後ゴルフクラブで開催した。
 当初、94日に22人が参加して行う予定だったが、秋雨前線と台風17号接近による荒天のため中止し、19日に日程変更した。

 この日は絶好のゴルフ日和。東中南予から12人が参加し、さわやかな秋晴れの下、熱戦を繰り広げた。競技はダブルぺリア方式で行われ、門田迪郎さん(今治市)がN73.6(G82、H8.4)で優勝し、クリスタルのトロフィーを手にした。準優勝は矢野隆志さん(四国中央市)だった。

【写真】会長杯ゴルフコンペの参加者=奥道後GC

2013年9月8日日曜日

全国国際教育研究大会 伊予農高が最優秀

 高校生を対象にした全国国際教育研究大会(全国国際教育研究協議会など主催)が8月下旬、宮崎市で開かれ、国際理解・国際協力に関する生徒研究発表会の部で伊予農高が最優秀賞に輝いた。
 大会は、中南米等への移民政策の啓発と理解を深めようと始まった同協議会が1964年から開催しており、半世紀の歴史を持つ。今年は「共生社会への道」を大会テーマに開かれ、822日に英語弁論大会、日本語弁論大会、生徒研究発表会があった。
 生徒研究発表会には、全国のブロックから選出された伊予農高など日本の5校と韓国の外国語専門高校の計6校が出場。伊予農高は昨年12月に開かれた愛媛県高校国際教育生徒研究発表会(愛媛県海外協会後援)で最優秀賞を受賞した「デーツパンは海をこえて」を、国際教育部(部員20人)の谷松竜佑部長=3年=らが発表した。

 発表概要は、青年海外協力隊OGの依頼でエジプトの障害者施設の支援活動としてエジプト産ナツメヤシの実(デーツ)を使ったクッキーを製造する中で、国際教育部の生徒らは障害者施設の子どもたちが継続して行える生産活動としてクッキー以外のデーツ利用法を模索するようになり、「デーツパン」にたどり着いた。このパンはデーツを刻んだり練り込んだりする菓子パンタイプではなく、デーツに付着した酵母を使って果実を丸ごと発酵させて作るもので、食品化学科の教諭の協力も得ながら約半年間、試行錯誤を重ねて完成させた。発表では、このパンを完成させるまでの過程と今後の見通しについて報告した。
 受賞理由として「農業高校ならではの視点があり、サイエンティフィック。日本だけで作ろうというのではなく、エジプトという現地で安く作ろうと考えているのが素晴らしい」と評価された。
 最近のエジプトの政情不安によりデーツパンの製法は海を越えてエジプトまでまだ届けられてはいないが、生徒たちは日本の在来フルーツにないデーツの特性を生かした、パン以外の利用法の研究にも意欲的。
 顧問の森恵美子教諭は「今回のプロジェクトを通じて、生徒たちは自分の生活だけでなく、外国の暮らしにも関心を持つようになった」と視野の広がりを実感。中にはインドネシア留学生との地域活性化活動に取り組み始めた生徒もいる。

【写真】全国国際教育研究大会の生徒研究発表会の部で最優秀賞を受賞した伊予農高の生徒たち