2013年2月25日月曜日

八幡浜市真網代で伝統の「アメリカ籠り」

 八幡浜市真網代の住吉神社で224日、海外移住者の健康と安全を祈願する伝統行事「アメリカ籠り」が行われた。海外移住者が多い八幡浜と周辺ではかつて同種の行事が多く見られたが、移住者と故郷在住者の世代交代が進むにつれて消滅。例外的に真網代地区で大切に継承されている。
 真網代地区は現在、約210世帯、約700人。古くから米国カリフォルニア州を中心に海外移住が盛んで、今も米国に親類のある人の方が多いといわれる。
  アメリカ籠りの起源は明治時代とされ、毎年春先、渡米者の家族・親族が氏神の住吉神社に集って家内安全を祈願してきた。以前は移住者の関係世帯が当番制で世話役を担当し、出席者も100人を超えたが、世代交代が進むにつれて徐々に減少。このため地元の地域文化振興協議会「北針(きたばり)」(松浦有毅会長)が1996年から伝統行事継承のため参画し、会員らも出席。移住者関係世帯に代わって北針が一昨年から実施役を引き受けている。


 アメリカ籠りの神事には、移住者の親族や北針会員ら13人が出席。井上正博宮司が祝詞を奏上し、移住者38人の氏名を読み上げて家内安全を祈願。親族らにそれぞれの守り札を授けた。
 守り札は米国在住の移住者に親族から送り届けられる。
   北カリフォルニアに甥がいる松浦会長は「アメリカ籠りでは、地元と海外の家族や親せきの安全を祈願している。子供らにも郷土の伝統行事を継承してもらいたい」と話している。

【写真】㊤アメリカ籠りで神主のお祓いを受ける出席者㊦米国在住の移住者に届けられる守り札

2013年2月23日土曜日

愛媛大で外国人留学生送別会

 愛媛大学学生国際交流協力事業会(AINECS、会長・柳澤康信学長)主催の外国人留学生送別会が222日夕、松山市文京町の同大学であった。
 AINECSは、愛媛大と外国の大学などとの学生交流を図り、教育・研究を充実させるための支援団体で、同大学職員や愛媛県海外協会など地元有志が加入してさまざまな事業を実施。毎年この時期、卒業・終了して帰国する留学生の送別会を行っている。
 愛媛大では年々留学生が増加しており、現在、35カ国から約330人を受け入れている。今春、学部・大学院課程の卒業・修了予定者が39人、研究生や交換留学生が27人の15カ国、計66人が愛媛大を巣立つ。

 送別会は大学会館で立食パーティー形式で行われ、約100人が出席。バングラディシュと中国からの留学生の司会で進められた。清水史副学長(国際連携推進機構長)が出張中の柳澤学長のメッセージを紹介。乾杯の後、中国やインドネシア、フィリピン、フランスなどの卒業・終了予定者が整列。法文学部の管宇さん=中国=が代表してあいさつし「大学スタッフに助けられ、奨学金をいただき、感謝している。愛大生として誇りを持って生きたい」とお礼を述べた。留学生によるアトラクションもあり、フィリピンの伝統的なバンブーダンスなどが披露された。

【写真】送別会で整列し、お礼のあいさつをする卒業・終了予定の留学生ら

2013年2月16日土曜日

今治地区会 ブラジル日系社会を学ぶ

 愛媛県海外協会の平成24年度今治地区会が215日、今治市旭町2丁目の今治国際ホテルで21人が出席して開かれた。国際協力機構(JICA)の日系社会青年ボランティアとしてブラジルで活動した上島町出身の堀本梓織さん(28)=松山市在住=が「ブラジル日系社会に暮らして」と題して講話した。
 今年は在伯愛媛県人会の創立60周年に当たり、海外協会は11月、ブラジル・サンパウロで開かれる記念式典に慶祝訪問団を派遣する。そこで等身大のブラジル日系社会について理解を深めようと、20107月から2年間、日系社会青年ボランティアとして日系人集落にある学校で日本語教師を務めた堀本さんの話を聞いた。

 地区会では、主催者を代表して檜垣清隆副会長(檜垣造船社長)が「ブラジルは地球の反対側で大変遠いですが、関心のある方はぜひ11月に訪問し、同胞県人の活躍を見てください」と開会あいさつ。地元の村上誠一郎衆議院議員と山本順三参議院議員からメッセージが寄せられた。
 堀本さんが活動した日系人集落は、戦後間なしに開拓されたサンパウロ州の移住地「イタペチ」で、日系の約60家族が生活しており、ブラジル人を含めた人口は約千人。堀本さんは318歳の子供たちに日本語や日本の文化、習慣、しつけなどを教えた。
 堀本さんはブラジルの日系社会や日本人移住の歴史を説明した後、映像も使ってイタペチの日常生活や年間行事などを詳しく紹介。自らの体験をもとに「日系社会ではブラジル人との結婚、混血が進んでおり、日本語を話せる人が少なくなっている。しかし、古き良き日本がまだ残っており、子どもに日本語や日本文化を継承させたいとの親の願いも強い」と解説した。
 さらに「ブラジルの日系社会には、どんなことでも受け入れてくれる心の広さと、どんなことがあってもどうにかなるという心の強さがあることを教わった」と振り返り、「日本から遠く離れた所で、そうした生活を営んでいる日本人がいることを多くの人に知ってほしい」と結んだ。

【写真】㊤ブラジルの日系社会について理解を深めた今治地区会㊦映像を使って日系人集落の生活や行事を紹介する堀本梓織さん
 

2013年2月9日土曜日

宇和島地区会 岳人山さんが尺八も演奏

 愛媛県海外協会の平成24年度宇和島地区会が28日、宇和島市錦町の宇和島自動車会館で16人が出席して開かれた。松山市在住の尺八演奏家、岳人山(がくじんざん)さんが「和楽器とブラジル日系人の大和心」と題して講話した。
 今年は在伯愛媛県人会の創立60周年に当たり、海外協会は11月、ブラジル・サンパウロで開かれる記念式典に慶祝訪問団を派遣する。そこでブラジル日系社会について理解を深めるため、昨年7月、サンパウロを訪れ、第10回ブラジルよさこいソーラン大会でオープニング演奏を担当、日系社会で尺八の演奏指導をした岳人山さんの話を聞く機会を設けた。

 尺八の演奏家、作曲家、指導者として世界を舞台に活動している岳人山さんは、「太陽が北に見える国・ブラジル」には古き良き時代の日本と日本人の心が残っていると力説。尺八の生演奏を交えながら、戦前まで日本にあった古来の音階について解説。「日系ブラジル人のすごいところは、日本の曲もブラジルの曲も、聴いて正しく評価できること。だからブラジルでは、平均律ではない、生きた音楽を聴くことができる」と評価した。
 サンパウロの尺八人口は2千人、琴は8千人といわれ、岳人山さんは「日系人は高額な和楽器を日本から輸入し、日本の道徳や先人を敬う心を大切にしようと努めている」と説明。サトウキビが原材料の強い酒・ピンガや、想像を絶する大規模なイグアスの滝とイタイプダムを例示し、「ブラジルにはわれわれの固定観念の中に無いものがある」と日本とブラジルのスケールの違いも紹介した。
 岳人山さんは坂本龍馬脱藩150年を記念して自作した曲をはじめ、日本の唱歌やサンバ曲など合計8曲を演奏。出席者らは間近で聴く、迫力満点の名演奏に感激、大きな拍手を送っていた。質疑応答では、北半球と南半球の違いが尺八演奏に及ぼす影響や楽器と湿度の関係、尺八の素材となる竹についてなどさまざまな質問が相次ぎ、地区会は大いに盛り上がった。
 西条地区会も213日、岳人山さんを講師に迎え、同じ演題で開かれる。

【写真】㊤音楽を通してブラジル日系社会への理解を深めた宇和島地区会㊦尺八を演奏する岳人山さん

2013年2月6日水曜日

海外協会 八幡浜皮切り4地区会始まる

 愛媛県海外協会の平成24年度地区会が25日、八幡浜地区を皮切りに始まった。同月15日までの日程で宇和島、西条、今治の各地区で順次開かれる。
 八幡浜地区会は八幡浜市船場通、浜味館あたご船場通り店で開かれ、22人が出席。同市の大城一郎市長が「2013 八幡浜市の国際交流」と題して講話した。

 主催者を代表して井上善一会長が「本協会は今年、創立30周年を迎える。在外愛媛県人会との結び付きを活動の柱にしており、11月にはブラジル県人会の創立60周年記念式典に慶祝訪問団を派遣する。八幡浜・西宇和地域からは多くの人々が海を渡り、現地で活躍している。ぜひ、ブラジル訪問団に参加してください」と開会あいさつ。大城市長が八幡浜市の国際交流とまちづくりについて熱く語った。
 大城市長は郷土の偉人、二宮忠八と二宮敬作を例に「八幡浜の人々には進取の気質がある」と前置きし、米国カリフォルニア州とブラジルとの交流に言及。2010年の南カリフォルニア県人会創立100周年記念式典に高校生10人を派遣したことや、真穴地区から打瀬船(うたせぶね)天神丸が北針(きたばり=羅針盤)を頼りに新天地アメリカを目指し、北カリフォルニアのポイントアリーナに到達して100年に当たる今年、北カリフォルニアから八幡浜出身者の子孫らがルーツ探しで来訪を計画していること、秋のブラジル訪問団には「学校とも協議して、できれば高校生を連れていきたい」ことなどを紹介。国際理解セミナーや英会話教室の開催など八幡浜市国際交流協会の本年度事業を説明した。
 都市整備についても大城市長は、魚市場や産直物販飲食施設などを備えた4月オープン予定の八幡浜港湾、道路整備などを列挙。「今年は新生八幡浜市のスタートの年」と位置付け、「四国の西の玄関口として、九州と結ぶまちづくりに努める」と力説した。

【写真】㊤八幡浜市の国際交流などをテーマに開かれた八幡浜地区会㊦汗も気にせず、熱く語る講師の大城一郎八幡浜市長