2013年9月8日日曜日

全国国際教育研究大会 伊予農高が最優秀

 高校生を対象にした全国国際教育研究大会(全国国際教育研究協議会など主催)が8月下旬、宮崎市で開かれ、国際理解・国際協力に関する生徒研究発表会の部で伊予農高が最優秀賞に輝いた。
 大会は、中南米等への移民政策の啓発と理解を深めようと始まった同協議会が1964年から開催しており、半世紀の歴史を持つ。今年は「共生社会への道」を大会テーマに開かれ、822日に英語弁論大会、日本語弁論大会、生徒研究発表会があった。
 生徒研究発表会には、全国のブロックから選出された伊予農高など日本の5校と韓国の外国語専門高校の計6校が出場。伊予農高は昨年12月に開かれた愛媛県高校国際教育生徒研究発表会(愛媛県海外協会後援)で最優秀賞を受賞した「デーツパンは海をこえて」を、国際教育部(部員20人)の谷松竜佑部長=3年=らが発表した。

 発表概要は、青年海外協力隊OGの依頼でエジプトの障害者施設の支援活動としてエジプト産ナツメヤシの実(デーツ)を使ったクッキーを製造する中で、国際教育部の生徒らは障害者施設の子どもたちが継続して行える生産活動としてクッキー以外のデーツ利用法を模索するようになり、「デーツパン」にたどり着いた。このパンはデーツを刻んだり練り込んだりする菓子パンタイプではなく、デーツに付着した酵母を使って果実を丸ごと発酵させて作るもので、食品化学科の教諭の協力も得ながら約半年間、試行錯誤を重ねて完成させた。発表では、このパンを完成させるまでの過程と今後の見通しについて報告した。
 受賞理由として「農業高校ならではの視点があり、サイエンティフィック。日本だけで作ろうというのではなく、エジプトという現地で安く作ろうと考えているのが素晴らしい」と評価された。
 最近のエジプトの政情不安によりデーツパンの製法は海を越えてエジプトまでまだ届けられてはいないが、生徒たちは日本の在来フルーツにないデーツの特性を生かした、パン以外の利用法の研究にも意欲的。
 顧問の森恵美子教諭は「今回のプロジェクトを通じて、生徒たちは自分の生活だけでなく、外国の暮らしにも関心を持つようになった」と視野の広がりを実感。中にはインドネシア留学生との地域活性化活動に取り組み始めた生徒もいる。

【写真】全国国際教育研究大会の生徒研究発表会の部で最優秀賞を受賞した伊予農高の生徒たち