ブラジル愛媛県人会の続木善夫さん(82)=サンパウロ市在住=が一時帰国し、21世紀の農業の確立に向けて精力的に愛媛県内のミカン園視察や農業団体との会合をこなしている。
続木さんは大阪市生まれで、両親が四国中央市土居町出身。1953年、23歳でブラジルに移住。63年に農薬販売会社を設立し、同国有数の会社に成長させた。しかし、農薬だけでは病虫害問題を解決できないと反省し、会社の最盛期に農薬販売を中止。72年、サンパウロ近郊に8ヘクタールの実験農場を購入し、無農薬栽培で有機農業を確立した。土壌改良剤と生理活性剤の開発にも成功。ブラジルはもとより日本でも新時代の営農指導や作物の栽培技術指導を続けている。
在伯県人会関係では、愛媛県海外協会の主要事業の一つ、日伯交換研修生派遣事業を当時の県人会長と提言し、実現させた。
今回は4月4日、妻典江さん(82)と里帰りし、四国中央市土居町の親戚に滞在。6月上旬、ブラジルへ帰る。
先日には海外協会事務局を訪れ、カンキツ栽培農家でもある井上善一会長と農業談義。続木さんは除草剤の使用をやめることの重要性や、土づくりと根づくり、栄養分などについて持論を展開。カンキツ類の開花、摘果、収穫の時期や、施肥の時期や回数などについて、メモを取りながら熱心に質問していた。
続木さんは「ブラジルでミカン栽培を長期研修したい人がいれば、いつでもホームステイさせて協力する」と話していた。