2010年12月17日金曜日

講演の中村博士とふるさと伊方談義

 中村修二博士の講演会が11月20日、ロサンゼルス・リトルトーキョーの京都グランドホテルで開催されました。大広間は満員となり、『日米での研究(仕事)の違いについて』と題する講演に、聴衆は聞き入りました。
 皆さんご存知の通り、博士は青色発光ダイオードと青紫色半導体レーザーの研究開発で頂点に立つ世界的科学者です。ブルーレイ、液晶薄型大型画像スクリーン、白熱灯からLED証明の製品実用化に成功し、フィンランドの国家最高権威である国際賞ミレニアム賞や、アメリカ政府のフランクリン賞などを受賞しました。次期ノーベル賞に最も近い人と言われる所以です。日本が政権麻痺と経済低迷の中にある現在、力強く、個性ある中村節は、われわれ聴く者を魅了して余りあるものがありましました。
 私は伊方町九町の出身。中村博士とは同郷であり、私の元同級生が博士と親戚である縁で、主催者側の計らいにより講演会の前、しばし歓談の機会を得ました。妻と共に語らいましたが、とても前向きで、きさくな人柄に親しみを覚えました。
博士は実際には大久の生まれとのことで、九町には叔父上が居られるとのことです。大久の海辺で飼う牛のことや、故郷の話に華が咲きました。現在はカリフォルニア州立大学のサンタバーバラ校で教授をされていますが、私の家からは1時間ちょっとの距離でもあり、またお会い出来る機会もあるような気がして、楽しみにしております。(川口恵盛・南加愛媛県人会会員、100周年記念式典出席)


(※)川口恵盛さんは、中村博士の講演を聴講した感想を次のように語っています。
 「博士が言わんとされたことは、題目の通り、日米の研究開発環境の差異ということですが、それを通して言いたかったことは、二つあると思います。一つ目は、日本の研究開発環境が米国のそれと比較すると拙劣であること。このことは、米国において日本人の多くの科学者がノーベル賞受賞者まで成長することをみれば当然だと思います。二つ目は、日本の企業が研究者の成果に対して妥当な理解と扱いをしないということ。博士の言葉を借りれば、日本のサラリーマンは『社畜』のようなものである。そのような環境に甘んじることなく、外に飛び出し自分の夢を実現して欲しい。そのことを特に訴えたかったのだと思います。とてもストレートに歯に絹を着せず話されるので、語弊もあるかとは思いますが、言わんとするところは、聴衆によく理解されたと思います」



  写真説明=講演の合間を縫い中村博士と懇談した川口夫妻