2013年8月26日月曜日

天神丸100周年 北加県人が漂着地を訪問

 八幡浜市から新天地アメリカでの成功を夢見て出航した天神丸がカリフォルニア州にたどり着いて100年になるのを記念し、サンフランシスコ周辺の北カリフォルニア在住の愛媛県人らがこのほど、天神丸の漂着地ポイントアリーナを訪問、現地の人たちと交流した。
 ポイントアリーナはサンフランシスコの北に位置する。1913(大正2)年5月、八幡浜市真穴地区から若者など15人が打瀬船(うたせぶね)と呼ばれる帆掛け船天神丸(全長約15メートル)で密かに出航し、北針(羅針盤)を頼りに太平洋を横断。58日に及ぶ決死の航海を経てポイントアリーナの海岸にたどり着いた。乗組員は密航者として拘束され、強制送還されたが、八幡浜市民は今も先人の精神を顕彰。1996年には歴史的な場所である現地に記念碑「北針の碑」を建立した。


 ポイントアリーナを訪問したのは、サンフランシスコ近くに住む矢野ジョージさん(71)=八幡浜市出身の帰米3世=と菊池ヘンリーさん(84)=同市出身の帰米2世=をはじめ、矢野さんの妹・井上ベスさん夫妻の4人。818日、車で4時間半かけて訪れた。ポイントアリーナのバーキー市長と助役、職員、市議会議員、天神丸の乗組員が漂着時に世話になった先住民・ポモ族の子孫ら計約30人が記念碑前に参列。矢野さんが神官役を務め、天神丸100周年を顕彰する記念式を行った。式の後、出席者らは清酒とワイン、炭酸飲料、ケーキとクッキーで歓談、親交を深めた。
 ポイントアリーナでは20108月、ロサンゼルスで行われた南加愛媛県人会創立100周年記念式典に出席した加戸守行知事(当時)ら慶祝訪問団が訪れて記念植樹した。市街地の中心部に植えられた記念樹は元気に育っているという。
 矢野さんは「ポイントアリーナは小さい町だが、天神丸の史実があることを喜び、私たちを支援してくれている。私たちの世代だけでなく、子どもたちも介して何らかの交流を現地と続けたい」と話している。

【写真】㊤「北針の碑」の前で行われた天神丸100周年の記念式㊦ポイントアリーナの人たちと記念写真に納まる矢野ジョージさん(左)と菊池ヘンリーさん(右)