2015年1月5日月曜日

海外協会 中山紘治郎会長が年頭あいさつ

 明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましてはお健やかに新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。平素より本協会の活動に一方ならぬご理解とご協力を賜り衷心より御礼申し上げます。
 さて、昨年は本協会設立30周年記念事業の大きな柱でありました記念誌「海を越えて ふるさとの絆」を3月に発刊し、会員と県内の図書館等の公共施設に贈呈致しました。記念誌には井関昌孝初代会長はもとより、30年にわたる関係者各位の本協会に寄せる熱い思いが収載されており、編年体でまとめられた活動記録と併せて誠に貴重な図書になりました。念願のこの記念事業を立派に完遂された井上善一前会長のご尽瘁(じんすい)に深甚より敬意を表し、企画・編集を担当された事務局のご労苦に謝意を申し上げます。
 9月には、第8期の日伯交換研修生3名をブラジルへ派遣致しました。研修生はブラジルで暮らす県人の皆様のもとで3週間、移住から1世紀をこえてもなお脈々と継承されている日本人の心を学び、ブラジルの多様な文化と豊かな自然を見聞し、在伯県人と交流を深め、深い感動を胸に無事帰国しました。
 ところで、ご案内の通り本協会は井関初代会長が「世界に向かって心の窓を開こう」と各界に呼びかけ、民間主導の海外協会として誕生して以来、在外県人会のふるさと交流の橋渡しとして活動しております。私はここ数年、ブラジルから里帰りした県人会の皆様と膝を交えてお話しを伺うことが多く、そのとき皆様がかならず口にされる苦言や心配をお伝えします。
 一つは「日本人は外国で、自分の考えを言わない。相手の誤りや間違った考えを正そうとしない。政治家は毅然として言うべきなのに、やはり言わない。若者は日本の歴史や文化に関心を持とうとしない」ということです。いわゆる慰安婦問題をはじめ、占領政策の下で刷り込まれた自虐史観を日本人は自ら正そうとしないし、自分さえよければよい、という自己本位な考えを改めようとしない。悪いことはみんな為政者のせいにし、国家を思う気持ちがはなはだ欠落している、と言われるのです。
 また、祖父母から教わり伝えられた日本人の礼節、質素、謙譲などの美徳は、いま多くの日本人が失ってしまったのではないか、と顔を曇らせるのです。祝日に国旗を掲げようとしないのは、日本人が自分の国への誇りを失ってしまったからではないか、との指摘も受けました。在外県人会の皆様から学ぶことはたくさんあります。白砂青松の自然景観とともに、日本人の美しい徳目は後世にしっかり伝え残していかなければなりません。
 在外県人会の皆様のこころの拠り所として、本協会の役割をさらに大きくしたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げ、末筆ながら皆様のますますの御清栄を祈念致します。

 【写真】愛媛県海外協会の中山紘治郎会長